十坪住宅 梅が香寮
本校は、2015年より長島愛生園の十坪住宅保存に向けて、夜間部学生や教員が実測調査に関わってきました。
2017年から長島愛生園歴史館に十坪住宅の展示が拡充され、そこに展示する十坪住宅の模型作製を依頼されました。
2017年5月、有志の学生7名(昼間部2年生5名、専攻科2名)がチームを組んで模型作製に参加しました。
模型作製チームメンバー
(石田真弓、矢田茉那、友野恭佑、野上凌平、伴埜大亮、藤井大正、松田匠太)
現在の十坪住宅は、創建当時から増築を繰り返しており、新築当時とは大きく異なっています。また図面や資料もほとんど残っていません。
そこでチームでは実測調査を行い、長島の入所者の方の記憶を聴きながら、30分の1の詳細な模型の作製に取り組んでいます。
今後は、現存している5棟の十坪住宅のうち、2棟について、創建当時と現状のそれぞれの模型を作製していく計画です。
梅香寮の試作模型を作製の後、続いて一部修正を加えた展示用の模型を作製しました。
2018年2月19日より、長島愛生園歴史館にて公開されています。
建物概要
「梅香」は建設時の図面が残っていて、その後の増築の変遷が伺うことができます。
竣 工 昭和13年 (1938年)3月25日
竣工時延面積 11.375坪(37.68㎡)
寄付者 東伏見家
国立療養所であるためか、建物は関東のモジュールで建設されており、設計は厚生省の技術者によるものと考えられます。また図面から、トイレの構造などが当時では最新の構法で設計されており、安普請の建物ではないことが伺えます。
竣工後は、諸宗教の儀礼的な寄り合いなどに利用されていたと言われています。その後、長島の収容者の増加に伴って、ここに2世帯の元患者が居住することになったそうです。炊事場やトイレは共同で、襖で仕切られただけの6帖和室での生活は、当時の収容者の厳しい生活が想像されます。