長島愛生園 新良田治療分室

 
 

模型(2021年2月)

 

実測調査時 写真(2018年3月)

 
調査報告書ダウンロード

新良田治療分室

 

2018年3月、本校建築学科の学生及び下記グループと共に実測調査を実施しました。以下に概要を示します。
 
調査グループ
シマムラ建築工房、YONEYAMA一級建築士事務所、建築工房カナヤ、ココロエ一級建築士事務所、岡山理科大学(弥田研究室)、遠藤建工、ゆいの会、岡山理科大学専門学校
 
建物概要  
 資料によると、建設当時と推定される図面は「東部治療分室」とされ
 木造二階建て 延面積 39坪(129.18㎡)と記載がある。
 時期は不明であるが、伝聞によると、火災により一部が消失し現在の建物に
 改修されたとのことである。
 
 ・木造モルタル塗り平屋建て         
 ・延面積     104.13m2   
 ・屋根  セメント瓦葺き。キングポストトラス。
 ・開口部 木製建具(一部アルミサッシに改修)
 ・内壁  石膏プラスターに漆喰塗り、モルタル塗り。(和室は黄漆喰塗り)
 ・床   モルタル塗り。(和室は畳敷き、縁側は長尺無垢板)
 ・天井  石膏ボード塗装仕上げ(和室は竿縁天井)
 
 資料に「H 21.12.1 用途廃止済」の記載が見られるが、今回の調査時に1987年(昭和62年)のカレンダーが残されていたことから、少なくともこの時期までは使用されていたものと考えられる。
この治療分室は、昭和22年頃からハンセン病に有効な治療薬プロミンによる治療が開始されるなかで、当時の患者への治療を行う場所として使用されていた。
プロミンによる治療は、非常に有効で、劇的に症状の改善が見られたようであり、まさに当時の患者たちにとっては、希望の場所であったと思われる。
 
建物の現況
 建物南東の角部の痛みが激しく、基礎の沈下が見られ、またこの角部分の屋根は落ちていて原形をとどめていない。
外壁は、南東角、北東角部分のモルタルの剥がれなどがあり、西面と比較して東側部分の痛みが激しい。南及び東面の窓は、木製からアルミサッシに取り替えられているが、北や西面の木製窓に比較して変形が大きく、これにより雨漏りによる痛みも激しく見られる。 
内部の造作については、火災で焼けた後の改修のためか、トイレ廻りの作りが簡易的であると感じられた。        

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