梅が香 増築後
2016年の実測調査による図面を元に、模型作製のためさらに詳細な実測を実施し図面を作製、模型作製をおこないました。
完成模型については、長島愛生園 歴史館で展示されています。
模型作製チーム
(野上凌平、伴埜大亮、藤岡智也、藤井大正、松田匠太、佐々裕基、佐藤尚人澤田倭芳、辰野勝志、川上海夏、筒水菜々子、中村姫子)
建物の現況
建設当時 延面積 11.375坪(37.68㎡)
増築後現状 延面積 22.476坪(74.45㎡)
元の面積に匹敵する36.77㎡が増築されています。
元の住宅の真ん中を二分し、台所とトイレを2軒分に、2〜3帖の小部屋を付け加え、縁側を約半間広げるという工夫がされています。
増築については、南側の増築やトイレの水洗化は園の生活改善対策として行われたそうですが、その他は入居者自身の負担によって行われていたそうです。
園内では、入所者がそれぞれに病気による体の症状にあわせた労働を分担して行っており、労働の対価として得た収入を自宅の増築に充てていたようです。
他のハンセン病療養所では、このような増築は見られないことから、長島愛生園では独自の自治が認められていたように思われます。
また、工事については、園内の入所者による協力や入居者自身での施工によるところが多く、積極的な生活改善の跡がうかがえます。
食事は、基本的に園から食材を支給されていたそうですが、野菜などは入所者独自に生産することが一般的であったそうです。入浴は園内の共同浴場を利用することが通常だそうですが、「梅が香」の東側住戸には浴室が増築されています。入居者が体の不自由なことから自ら増築されたようです。