リノベーションEXPO  岡山  2018

 

リノベーションアイデアコンペ「表町再生を語ろう!」
最優秀賞 「HON NO MORI」

 

2018年11月17日(土)ルネスホールにおいて、リノベーションEXPO岡山が開催されました。表町商店街の空き店舗の再生を対象にした、アイデアコンペのプレゼンテーションが行われ、本校専攻科チーム(6名)が最優秀賞を受賞しました。
 

プレゼンテーション

 
1.表町商店街の起源
約400年前、宇喜多秀家が城下町を整備し、その街道沿いに形成された商人街が現在の表町商店街の起源となっています。また、下之町と紙屋町には大名が宿泊する本陣が置かれていました。
もともと本陣では大名たちが滞留し、商店ではヒトやモノが循環する場所でした。
18世紀初頭の資料によると、武士を除く住人のうちおよそ半数が商人で占められ、賑わいの中心的な場所であったことが伺えます。
2.表町商店街の現状
その後戦前戦後を通じ岡山市最大の一大商圏にまで成長しましたが、交通手段の変革等の要因により、
次第に衰退の道をたどりました。現在の表町商店街は天満屋周辺こそ空き店舗が少ないのですが、南にいくにつれ空き店舗が目立ち、アーケード内も暗い雰囲気となってしまっています。
岡山市が実施している各種調査報告書によれば、2016年度において空き店舗は全体の店舗数の22%に当たる77店舗にものぼります。
また、アーケードは通過や通り抜けの経路であり「滞留」や「循環」の場所となっておらず、かつての賑わいを失っているのが現状です。
3.表町商店街全体の活性化のために・・・
そこで私たちは緑豊かな公園のようなレイヤーをここに重ね合わせることによって、ゆっくりとくつろぎながら楽しめる場所として再生したいと考えました。
具体的には、空き店舗となっている場所を減築することで広場にしたり、通り抜け可能なゆっくりとくつろげる店舗としてリノベーションすることによって、「滞留」や「循環」を促すことを提案します。
そしてそのことにより市の計画で2022年度に開館予定となっている南の新市民会館と北のシンフォニーホール、この2つの文化の発信拠点を結ぶエリアが鑑賞後の余韻を味わえるアフターシアターとなれば、
表町商店街全体の新たな魅力を生み出すことになるでしょう。
4.課題地の提案
今回与えられた課題地をどうリノベーションしていくか、計画を始めるに先立ち私たちは簡単なアンケートを実施しました。その結果、もともとあった「細謹舎」という書店が今も多くの人々の記憶に残っていること、
またゆっくりとくつろげる場所が求められていることが分かりました。
そこで私たちはこの建物を森の中でくつろぎながら本が読める空間にリノベーションし、本を媒体とするコミュニケーションの場を作りたいと考えました。
具体的には各家庭に眠っている本や、自分のお気に入りの本を持ち寄れるまちかど図書館を計画します。
そこでは同じ趣味を持つ人々、例えば料理好きの人々が集まりちょっとした試食会を開く。映画好きの人々が集まりミニ上映会を行う。また、音楽好きの人々が集まってミニ演奏会を行う。といったように世代を超えた幅広いコミュニケーションの輪が広がるような場所を提案します。
そしてこの空間は中庭や吹き抜け・トップライトから差し込む光や、床や天井・壁に埋め込んだ
照明の光によって、まるで森の中の木漏れ日に包まれたような空間として演出されます。
また、最上階は近年増加傾向にある外国人観光客のためのゲストルームとして活用し、
屋上庭園は商店街の屋上とは思えない視界が広がり、ゆっくりと時間の流れる空間を提供します。

私たちは柔らかい光に包まれたこの場所が、多くの市民や観光に訪れた人々に安らぎとくつろぎを与え、
新たなコミュニティーが生まれる場所となり、商店街の一部としてアフターシアターを楽しめる特別な場所となることを期待します。
さらに、ここが活性化を促すモデルケースとして寄与し、表町商店街全体に再びかつての賑わいが蘇り、「滞留」と「循環」のまちとして、大きく発展することを強く願っています。