2010 釜山建築大展 「 SPACE + 」

 

入選 「 I + 」   建築学科 専攻科

「 I+ 
 
 
現在、私たちは、人、物、建物、自然、街など様々な関係性の中で生きている。
しかし、関係性というのは、他者の存在があって初めて生まれるものであり、目で見る事や触ることはできない。
さらに、一時として同じではなく、常に揺らいでいる。
 
我々は、曖昧な関係性を、相対的な建築によって表現したいと考えた。
そこで我々は、潜在性と透過性を併せ持つ日本建築に注目し、その中でも、日本建築独特の「障子」に可能性を感じた。
本来、部屋を仕切るためのものである「障子」で構成された空間は、
「障子」の重なりが、時には壁よりも濃く、時には空気よりも薄く、変化する事によって、目に見える形で関係性が表現される。
そこで我々は、伝統的な「障子」に新たな命を吹き込み、現代的な機能を付加した「障子+」で、構成された空間を提案する。
 
この空間は、家族という最も小さく、最も身近な繋がりを「障子+」の濃淡によって映し出す。
さらに、家族の空間と個人の空間は「障子+」によって相対的に変化する。
自身を限りなく孤立させることも、家族と空間を共有することも、自らの意識によって可能となる。
空間は家族によって創られる。
 
このような空間の関係性は、次第に街にも広がっていき、新しい関係性を生み出す。
街は、それぞれの家族によってつくられた「障子+」の重なりと、
公共建築での見ず知らずの人との関係によってつくられた「障子+」の重なりによって、
現在、建築の外観が街の景観をつくっているように、「障子+」の重なりによる濃淡が街を創っていく。
 
 
建築は、「I(私、個人)」では完成しない。
 
自分以外の誰かによって、「I+」は完成する。
 
よって、「SPACE+」は、「障子」の重なりの中に生まれる。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
(社)日本建築家協会近畿支部と(社)韓国建築家協会釜山建築家会が共同で開催するアイディアコンペ。
釜山建築大展は、韓国建築家協会釜山建築会と釜山広域市の主催で毎年開催されており、歴史のあるコンペです。
受賞作品は、毎年数万人が参加する釜山建築祭で展示され、受賞は非常に名誉となる著名なコンペの1つです。毎年韓国全国の大学生と、建築家が参加し500人を超える応募があります。
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